SWBSは(独)中小機構が運営する海外ビジネス総合情報サイトです。

  • 登録企業数 574
  • 登録相談数 61
  • 登録イベント数 285
  • ブログ投稿数 230
このウィンドウは当サイトを始めて訪問された方に表示しております
close

朝日税理士法人の海外展開ブログ


国税庁が移転価格ガイドブックを公表~7月より国税局が企業訪問開始

2017年6月23日 10:35   19

2017年(平成29年)6月9日、国税庁は「移転価格ガイドブック~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~」を公表しました。

移転価格文書化制度においては、2017年(平成29年)4月1日以後に開始する事業年度よりローカルファイルの同時文書化が義務化され、確定申告書の提出期限までに作成又は取得し、保存する必要があります(取引規模による免除規定あり)。

本ガイドブックは、同時文書化対応ガイドや、ローカルファイルの全体像と記載事項が分かるサンプル(作成例)が掲載されていますので、文書化への対応を行う企業にとっては、実務の手引きとなるものと思われます。

また、本ガイドブックでは、本年、7月からの、国税局における同時文書化対象取引に関する相談窓口の開設、及び、国税調査官による、文書化制度に関する指導、助言等のための企業訪問の開始が告知されています。企業訪問では、企業の移転価格税制全般への取組み状況の聴取、及び、ローカルファイルの準備、作成状況や記載内容の確認等も行われます。

◆移転価格ガイドブックの内容
移転価格ガイドブックは、以下のような3つの章から構成されています。
I. 移転価格に関する国税庁の取組方針~移転価格文書化制度の整備を踏まえた今後の方針と取組
II. 移転価格税制の適用におけるポイント~移転価格税制の実務において検討等を行う項目~
III. 同時文書化対応ガイド~ローカルファイルの作成サンプル

◆相談窓口の開設(2017年(平成29年)7月より)
ガイドブック第1章の3によれば、2017年(平成29年)7月より、同時文書化対象取引(年間受払合計50億円以上の海外子会社等との取引等)に関する個別照会に対応する相談窓口が、東京や大阪など全国12か所の国税局・事務所に開設されます。

相談窓口では、たとえば、ローカルファイルの作成における機能分析、独立企業間価格の算定方法の選定、比較対象取引の選定、分割ファクターの選定、目標利益率の幅(レンジ)の設定等に関する個別照会についての納税者の相談に対応するとされています。この相談は、個別照会者(納税者)が提出した資料を前提として口頭で回答が行われます。照会内容及び回答内容は公表されません。

個別照会の対象となる照会には一定の範囲が設けられていますが、文書の作成過程で疑問が生じる場合には、利用するのも一手でしょう。

◆移転価格文書化制度に関する指導、助言等のための企業訪問の実施(2017年(平成29年)7月より)
上記、相談窓口の開設に併せて、同2017年(平成29年)7月より、企業の理解と協力の下、国税調査官が同時文書化義務の対象見込みの企業(海外子会社等との取引が年間50億円以上あることが見込まれる企業等)を訪問するとしています(訪問前に事前に電話で日時等の連絡あり)。

同ガイドブックは、当該企業訪問は、税務調査ではないとしています。しかし、訪問時には、おおむね以下のような作業が行われますので、事前の準備が必要かと思われます。

① 移転価格税制全般についての取組状況の聴取
② 同時文書化対象取引の概要の聴取
③ ローカルファイルについて記載内容の確認、及び、ヒアリング等
④ ローカルファイルの内容等につき、企業に疑問点や判断に困る事項などの相談がないかを確認
⑤ ローカルファイルの準備・作成の状況等に応じて、記載内容に不備がないか等につき、必要に応じて指導、助言等
⑥ 必要に応じて、移転価格調査での着眼点や想定される指摘事項、移転価格ポリシーの策定において留意すべき事項等を助言し、企業において移転価格税制の適用について検討する際に有用と考えられる資料の提供

なお、当該訪問でローカルファイルの記載内容につき指導を受けた事項については改めて検討するよう勧告されます。また、後日の移転価格調査を含む税務調査やローカルファイルの作成状況等を確認するために企業を訪問する際に、指導、助言等を行った事項の対応状況について質問確認を行うことがあるされています。

◆今後の対応
本移転価格ガイドブックは、移転価格税制に関する納税者の予測可能性や行政の透明性を高めることにより、企業の自発的な税務コンプライアンスの維持・向上を図るとの観点から、移転価格に関する情報を発信するという趣旨で公表されています。

企業は、当該ガイドブックの情報を有効利用して、税務調査官の企業訪問があったとしても、それを疑問点や判断に困る事項の相談の機会とすることができるように、移転価格文書化を早急に推し進めたいものです。

また、同時文書化義務が当面ない、海外子会社等との取引金額が50億円未満の企業においても、同ガイドブックを参考に文書化を行い、税務調査時の書類の提示・提出要求に対応できる体制を作っておくことが望まれます。

以上

参考になったらいいねボタンをクリックしてください。 19
※ブログ記事の内容は各執筆者の知見、経験等によるものであり、当サイトが情報の正確性、最新性を担保するものではございません。