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ジェヌインR&Dの海外展開ブログ


■中国越境ECにお金がかかる理由 その2■

2017年7月18日 14:15   11

(前回、ICPライセンスを取り、中国でのECサイトの開設を果たしましたが、ページボタンをクリックしても、すぐには動きませんでしたが、その理由は…。)

 これも中国の規制です。世に言う、「グレートファイアーウォール」の一つ。実は、サーバを中国国内に置かないと、日本のサーバから情報を送ると検閲が入り、すぐにサイトが移動しないのです。他の国なら日本のサーバにサイトを公開すれば、世界共通で普通に見られるはずですが、中国は違います。日本のサーバから公開しようとすると、ICPがあっても検閲が入っているので、まともには動かないのです。ひどい場合は、1クリック5秒以上というケースもあるようです。中国の消費者にECで商品を紹介できるようになりましたが、動きが遅いのでは、お客は離れて行きます。 
 仕方なく、サーバを中国に移設します。そして、データ移行、サーバ契約など費用がまた発生します。やっと、ページが動くようになります。
 ひとつの問題を解決する度に費用が発生します。この流れに乗ると費用はどんどん増えて行きます。しかし、それでも、まだ注文は入ってきません。
 次に来るのが、中国最大のショッピングモールです。中国でECビジネスをするなら、Tモール(天猫)の出店が、成功する鍵だからです。我々は、ニュースなどで独身の日(ダブル11)の話やこのイベントで日本の服飾メーカーが、1億元を突破した話などを聞きますが、そのニュースの舞台が、Tモール(天猫)になります。上陸なしの越境ECです。当然、Tモールの出品を決断し、大量注文を期待して、契約書にサインします。
 Tモールの話を進める頃になると、いろいろ情報が入ってきます。中国でのECサイトはそのほとんどがこの大手のECで占められています。アリババ系のTモール(天猫)、タオバオワン(淘宝網)、などです。実は、中国ECで自社サイトを立てても、ほぼ稼働していません。速度の問題ではなく、ほとんどのECは、このTモール系で占められているので、Tモールから誘導して自社サイトで顧客情報を得るということもほぼできないようです。そのため、ビジネスを動かすには、Tモールへの出店が必須になるのです。では、なんでホームページを作らせたのでしょう。安易に依頼すると、このようなロスが様々な場面で経験することになります。不安を感じながらも、それでもTモールへの参加を進めます。
 参加が確定すると、追い打ちを掛けるようにして、今度は、Tモールの保証金の話が来ます。ECに参加するには商品にもよりますが、80~250万円ぐらいの担保保証金が必要になります。その他に、技術サポート料(売上が低いと返ってきません)が、48~80万円/年くらいあります。中国語はできませんので、手続きのため、手続き代行費用も払います。ここまで来ると、かなりの投資が進んでいます。詳細な手続き費用は、業者や駆け引きにもよりますが、撤退判断が遅いと固定費は時間とともに増えていくので、1000万円以上の投資というのも、この流れだと理解しやすくなるのではないでしょうか?
 そして、何とか、Tモールの出店に辿り着きます。しかし、それでもまだ、投資は、終わりません。
 普通であれば、ECで出店すれば、あとは注文を待つばかり、ところが注文はそれでも来ないのです。多少の広告も打つかもしれませんが、爆買いのようにECの受注が殺到するということは起こりません。これまでの投資を考えれば、大量受注が来ても良さそうです。
 実は、中国のECには、チャット文化があります。商品をECに表示するだけでは、誰も買いません。そもそも、日本製というだけで商品が動かないのは、この時点で理解できます。ECで決済するには、営業員のようなオペレーターが、24時間待機して、商品の質問に答えながら、決済まで誘導しなければなりません。彼らは、チャットをしながら、あるいは出店数が多過ぎるので、広告から自社のTモールサイトに誘導するため、電話で対応します。最後は、人件費という固定費が発生します。
 投資を取り返すには、ここで、撤退はできません。人を雇って、完全な状態に仕上げます。管理費、コンサル費、そしてスタッフ費用、固定費が発生します。採算は別にして、物が売れてくると、物流も検討しなければならないかもしれません。唯一、不動産の賃貸借だけがないのです。
 つまり、ほぼ中国にビジネス上陸したような形になります。ほとんどのリソースは中国側にあるので、管理に不安も感じるでしょう。元々、中国のECは内需政策の一つで、中国人のビジネス発展のため、様々な制度改革が進められています。決して外国人のための規制緩和ではないのです。中国は現在でも経済が健全に発展している訳ではなく、不動産バブルや若者の就職先不足など、多くの経済問題を抱えながらも、経済成長している国なのです。そのため、少しでも自国民が経済的に良くなるように、自国内で伸びているビジネスに規制緩和をしながら、仕事のない若者へのスタートアップの場としても、提供されています。
 中国に旅行したことのある人だと分かるかもしれませんが、中国には、外国人専用のホテルと中国専用のホテルがあり、外国人用ホテルは値段が高いことで有名です。日本人が中国人用ホテルには泊まれません。内容、質については、詳しくはありませんが、これも外貨獲得の手段です。どの国でも、まず自国民を優先するのです。
 とは言え、遂に、Tモールの出店と全てのインフラが完成します。しかし、それでも物は売れないケースが多いのです。そこには、日本人、中国人に関係ないTモールのビジネスモデルが存在しています。
        (…つづく)

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