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(メディア掲載)【川崎大輔の流通大陸】中間層の勃興、タイの自動車整備工具業界に勢い

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タイ

2017年12月23日 15:48   2

2016年3月30日に、自動車整備用工具と機器を販売するアストロプロダクツの1号店がバンコクにオープンした。総責任者である中澤信也氏にタイにおける整備工具市場の現状及び今後の展望について話を聞いた。

<コラムURL>
https://response.jp/article/2017/01/24/289074.html

<コラム内容>
◆タイのアストロプロダクツの概要

埼玉県深谷市に本社を置くワールドツール。日本全国150の店舗で「アストロプロダクツ」という自社ブランドの自動車整備用工具を販売している。同社にとっては初の海外店舗としてタイのバンコクを選んだ。日本と同じアストロプロダクツの店名でバンコクの東北部にあるナワミン地区に270平方メートルの敷地面積で出店。日本から輸入した約3000種類の自動車整備工具等を日本とほぼ同じ料金体系で販売している。

タイの自動車市場が成熟化していくにつれて、部品交換や車の改造などの趣味がはやり自動車整備工具市場のポテンシャルと感じての参入である。これから拡大していく市場であり現時点でタイにマッチする商品は不明だ。そのため、日本の商品をほぼそのままタイに輸入してきている。オイル等の化学薬品やタイ工業省での認可が必要な電動系の工具などは輸入が遅れているが、来年にはすべてがタイでそろう形になるという。

ワールドツールは「工具(Tool)を使いこなすたのしみ」を提案している。中澤氏は「日本で販売しているデザインと機能性を兼ね備えた高品質の商品を、リーズナブルな価格で提供し工具の魅力を多くのタイ人にも知ってほしい」と考えている。

◆タイ自動車整備工具市場の現状

現在、タイの自動車整備工具市場のプレーヤーは大きく分けて3つある。1つ目がチャイナタウンの工具屋、2つ目がホームセンター、3つ目が工具専門販売店だ。

特徴として、チャイナタウンの工具屋は、陳列されておらず商品や価格が不明である。きちんと必要な整備専用工具やナットサイズを自分で把握していないと購入するのが難しい。更に、一般顧客にとっては怖くて敷居が高い。ホームセンターでは専門性が低く品揃えが少ない。これらの課題を克服したのがアストロプロダクツを含む工具専門販売店である。日本の本社直営での運営はアストロプロダクツだけだ。

新たに参入した業界のプレーヤーだが、アストロプロダクツの中澤氏は「業界で市場を取り合うのではなく、裾野を広げて業界全体を大きくしていくイメージでやらせていただいている、市場を広げていっているという感覚がある」という。

理由は、タイにはなかった専門性の高い自動車専門工具を取り扱っている。チャイナタウンやホームセンターではないものばかりで影響は少ないと考えている。更に、便利で高品質な商品をアストロプロダクツがタイに紹介することで、他プレーヤーの潜在顧客を広げている可能性があるという。

「日本でも同じ。今まで車屋にいっていたが、ワイパー、オイル交換くらいは自分でやってみようかな、と自分で交換してみようと思わなかった人があらわれた。オイルを自分で変えたからといって車屋が駄目になるというのではない。もっと気になる部分を発見して車屋に見てもらおう、と市場は増えた」と中澤氏が語る。

◆新規参入カープロダクツの差別化

確かに専門性の高い工具も差別化であるが、それ以上にお客様が気軽に商品を聞きに行けることが、業界プレーヤーとの差別化になっているようだ。「タイヤを交換したいがホイールナットが何ミリかわからないお客様。アストロプロダクツでは19mmと教えてあげられる。チャイナタウンやホームセンターに行ってもわからなかったお客様もくる」と中澤氏はいう。

アストロプロダクツとほかの工具専門販売店との違いはコンセプトの「低価格、ワンストップ」である。中澤氏は「タイでは自動車工具は値段が高く種類も余りないが、日本と同じ金額、商品をタイで販売できるようにしている。多くの人に、自動車と触れる喜びや整備のたのしさを知ってほしい」と語る。

◆アストロプロダクツにおける課題と展望

「専門性が高すぎるお客様がくるとタイ人スタッフではお答えできないことが課題。工具や知識について、お客様がきた時に答えられるような社員教育、研修を行う勉強の機会をもっとタイ人スタッフに与えていきたい」と中澤氏は考えている。

また今後の課題としては、タイ語での商品動画の作成だ。「日本の動画があるので持ってくるのは簡単、しかしできるだけタイ人が主役になって自らの視点で商品紹介などの動画を作ってくれるのを目指している。現場のタイ人スタッフを尊重して、商品の陳列や値段のつけ方など、サービスの良い部分は日本式を取り入れる」という。

2017年1月には現地資本のショッピングセンター内に2号店を出店予定だ。場所は日系自動車ディーラーや中古車ディーラーが集まるエリアのカンチャナピセーク。更に2017年度中に3店舗目のオープンも視野に入れている。タイでは約30店舗まで拡大する方針だ。タイ語でECサイトでの販売なども検討している。

現在、1日100人ほどの来店があり半分くらいは何かしらの商品を購入するという。主な広告媒体はフェイスブックだ。7日月で35,000の「いいね!」がついた。売り上げの10%以上はフェイスブックからの問い合わせからだ。

新しい商品が出るたびにフェイスブックに載せ、商品の使い方を動画で見せているという。顧客が来店して店内の商品を写真に撮ることも問題ない。売れ筋はタイでは売っていないものが多い。このようなものがあるのか、このような使い方ができるのか、と顧客の新しい発見を広げることが、同時に業界の裾野を広げているのだろう。

確かに、タイでは新車販売のみでの収益確保は難しいと考える。新車販売台数がこれから一気に増えることはない。そう考えれば自動車アフターマーケットには大きなビジネスチャンスがある。タイでは専門的な工具販売店は少ないが中間層の勃興とともに、自動車整備工具業界への勢いは強まりそうだ。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

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