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(メディア掲載)【川崎大輔の流通大陸】日本の整備業界を救うか…ミャンマーにみる、技能実習生制度の今

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ミャンマー

2017年12月23日 15:59   2

AURBOURFIELD INTERNATIONAL CO.,LTDは、日本を含め東南アジア諸国に年間1000人単位でミャンマー人労働者を送り出し、日本向けの技能実習生として年間100人以上を送り出している。日本側のパートナーである今村氏にミャンマーにおける送り出し機関の現状と展望について話を聞いた。

<コラムURL>
https://response.jp/article/2016/11/29/286132.html

<コラム内容>
◆外国人技能実習制度へ自動車整備職種が追加

2016年4月1日より外国人技能実習生制度において「自動車整備」が職種に追加され、3年間の実習が可能となった。これは発展途上国の外国人を日本で一定期間受け入れてOJTを通じて技術や技能、知識の移転を図る制度である。その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、日本の国際協力の重要な一翼を担っている。

ミャンマーを走る自動車の90%近くが日本からの輸入中古車である。2011年の民政移管の際に、完成中古車輸入が解禁された。更に2012年5月には個人に対する中古車輸入の大幅緩和が行われ、これが日本からミャンマーへの中古車輸入が急増する結果となった。2011年の日本からミャンマーへの中古車通関台数は1万9621台であったが、2015年は商用車を含めた日本からの中古車輸入台数は14万1066台へと急増している。

2016年8月末までにヤンゴン管区内で正式登録されているのは、約80万台(内乗用車が33万台)。保有台数が大幅に伸びていく中、車検などの制度整備や、故障を未然に防ぐ点検整備などに関する技術や技能は多くのニーズがある。また、整備人材が育成されることで、ミャンマーへ輸出・販売が拡大している日本車の性能維持や、自動車の安全の確保が図られる。それにより事故の増加や交通渋滞の緩和、大気汚染の悪化の抑制が期待されている。

◆ミャンマーで最も古い日本への送り出し機関

ARBOURFIELDは、2000年にミャンマーの海外人材派遣のライセンスを取得した機関だ。日本への送り出し実績では、ミャンマーで最も古い歴史を持つ。

日本を目指す全ての候補生に事前に6か月間の日本語教育を行い、企業面接合格後も出国まで教育を継続する。現在、日本語学校は7クラス(1クラス35名ほど)あり、日本の受け入れ企業で実習をすぐにスタートできるように準備している。

自社でヤンゴンにトレーニングセンターを持ち溶接や建築関連の事前トレーニングを行うことが可能だ。自動車整備職種の追加に伴い、今後は整備関連のトレーニングも企業からの要請で随時行っていくことになる。「整備関連は実習生としても非常に関心が高く、今後の拡大の可能性は高い」と今村氏はいう。

◆ミャンマーの技能実習生送り出し機関の現状

現在ミャンマーには、認定送り出し機関が183機関存在し、多くの送り出し機関は日本語学校を自前で保有している。通常は企業面接合格後に6か月の日本語教育を行う。技能トレーニングは提携先に委託をしているか、若しくは何もやらずに送り出しているというのが現状だ。

送り出しに必要な経費はミャンマー政府によって上限設定されており、また実習生の渡航費は受け入れ企業側の負担となるのが一般的だ。しかしながらこの仕組みをきっちり守ることが出来ていない機関も多数あるという。

送り出し機関(ミャンマー側)の問題だが、送り出しにかかる経費を実習生から徴収する。教育完了前の徴収で、返金不可の条件だ。それにより質の悪い実習生であっても無理やり期間内に企業へ送らざるを得ず、後々で問題になるケースが多い。「出来の悪い実習生は事前教育時に“ふるい”をかけ、送り出しを見送るという割り切りが必要である。さもなくば日本に行ってからの問題発生率が増加する」と今村氏は指摘する。更に、実習生から不当な利益を得る送り出し機関やブローカーの存在の話も聞く。

一方で、受け入れ企業(日本側)の問題としては、一部の悪質な受け入れ企業が実習生に劣悪で低賃金な労働を強いているという実情もあるようだ。実際に日本企業のカウンターをおこなっている今村氏は「悪い企業を見抜くことも大事。悪い企業に送ると必ずトラブルになる」と指摘する。

高い理念のもとに仕組みを動かしているプレーヤーも存在するのは事実だ。しかし、そうでないプレーヤーもいる。「収益だけを追うと必ず実習生への負担が生まれる。悪循環を作り出さず自らの強みの業種を明確にして、身の丈にあった経営を行わないと技能実習生制度の健全性が保たれなくなる」と今村氏。

◆今後の魅力とこれからの展望

ミャンマーで人材ビジネスを行う魅力を今村氏に聞くと「日本は若い労働者が欲しい。一方でミャンマーは働きたい労働者が豊富で若い人たちは夢と希望に溢れている。社会情勢にマッチしているビジネスであり、しっかりとルールを守って進めれば実習生と受け入れ企業の双方がウィンウィンになる社会貢献ビジネスである」という。

技能実習の期間を最長3年から5年に延長する外国人技能実習適正実施法案が日本で可決され、来年には開始される見通しとなっている。技能実習制度の重要性が今以上に増すことになる。

日本の整備業界では人材不足に悩んでいる。しかし単に人材不足という安易な理由だけでは仕組みは機能しないだろう。前述したような業界内の課題がある以上、解決しなくてはならない。アメリカの経済学者アカロフが示したレモン市場のように、悪貨が良貨を駆逐する前に、早急にである。

業界内の課題を解決するにはミャンマーにある183の機関はこれから淘汰される必要があるかもしれない。同時に日本に来たミャンマー人をしっかりとモニタリングできる体制、更には日本からミャンマーへ帰った後の受け入れ体制を見直す必要がある。帰国後のサポートを行う日本の統轄機関は今のところ存在しない。

日本で整備の技術や技能、知識を学んだ人材が、ミャンマーに帰国してからも活躍できるような「循環システム」を作ることが、日本の整備企業を救う重要な施策になると個人的に考えている。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

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