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(メディア掲載)【川崎大輔の流通大陸】中古車天国カンボジアに広まる新車需要

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カンボジア

2017年12月23日 16:16   2

トリペッチいすゞは2016年3月、プノンペンとラオスの首都ビエンチャンに事務所を開設した。新興国における新車での本格参入を目指す。いすゞのカンボジア・ラオスの駐在員事務所の小田垣氏、伊藤氏にいすゞ独自の資料をもとに話を聞いた。

<コラムURL>
https://response.jp/article/2017/07/11/297266.html

<コラム内容>
◆ 転換期のカンボジア自動車市場

カンボジアの首都プノンペンを車で走るとわかるが、バイクに乗った若者がたくさんいて活気がある。ビルも建設ラッシュで非常に勢いを感じる。以前、私がカンボジアを訪問した時には、トヨタの中古のランクルやレクサスしか走っていなかった。

しかし、2017年6月に訪問したプノンペンは、自動車の台数が急増し、新しい車も街中でよく見かけた。最近は新車の販売が伸びてきており、2017年の新車の販売も昨年と比較し大きく伸びる予想だ。一般的に1人あたりGDPが3000ドルを超えると、その国での自動車普及期のモータリゼーションが始まると言われている。カンボジアの1人あたりGDPは1230ドル(2016)だ。しかしプノンペンに限ってみると4000ドルを超えていると言われており、モータリゼーション期に突入している。

◆ 中古車の規制がないカンボジア

「ラオスはカンボジアよりも人口が少ないにもかかわらず新車台数が多い。ラオスは中古車輸入の規制があるため新車が売れる構造になっている」と小田垣氏は言う。2015年のカンボジアの新車販売台数は約6460台、一方でラオスの新車販売台数は約3万5130台となっている。カンボジアでの新車、中古車を合わせた年間の自動車販売台数は約5万6000台。そのうち9割の5万台が輸入された中古車だ。

このようにカンボジアは、中古車の規制がないため中古車比率が高い、歪(いびつ)な自動車市場となっている。言い換えれば中古車天国だ。そのことが新車販売における1つの課題となっている。

一方で視点を変えると、カンボジアで中古車規制ができた場合、一気に新車需要が増えることが予想できる。規制が入るとすれば中古車の年式規制(10年落ち)が現実的である。また時期は、2018年の国民議会選挙が終了した2019年となるのではないかと予想している。

◆ いすゞの差別化と今後の展開

小田垣氏は「車の使用状況や国の道路状況を考慮するとカンボジアは頑丈な車を求めている」と指摘する。実際に2015年時点でのカンボジアの新車販売に含まれるピックアップ車の比率は約40%と高い。今後は、都市プノンペンではSUVが、そして地方ではピックアップの需要が高くなっていくだろう。

また、カンボジアでは仕事で利用するより、個人としての利用頻度が高い。平日は会社、週末は家族で出かける。更に自動車を購入できる層が限られているため、燃費よりもエアバックの数、安全装備系などの自動車の安全性に関心が強い。

いすゞは転換期にあるこのようなカンボジア自動車市場へ本格的な参入をピックアップとSUVで目指す。他社との差別化の1つとして、安全面も考慮した運転アドバイスをしている。サービス入庫した際に、お客様の車のエンジンからデータを取ってきて自動車の使い方診断を行っている。スコアリング、チャートレポートを作成して点数を100点満点で出して、安全運転や燃費のアドバイスをしている。

更にこの点数によって保険料金が安くなる仕組みを導入。1年ごとに算定している。鍵となるサービススタッフ人材の育成もタイのトリペッチいすゞからトレーナーを派遣してトレーニングを行っている。

今後の展開は、カンボジア国内におけるいすゞブランドの認知度向上。積極的に、テレビ、新聞広告、新車発表会、更にイオンモールやショッピングモール展示イベントなどを行っていくと言う。また、バッタンバン、シェムリアップ、シアヌークビルなどへの地方展開及び販売チャネル構築を目指す考えだ。

◆ 新車需要の拡大は自動車附帯ビジネスの発展を促す

自由な中古車輸入、実行されない車検制度、技術のないメカニック。更に未整備の道路インフラと乏しい交通ルール、公共交通機関の不足による市内の渋滞。多くの課題を抱えているカンボジアであるが、地方を含む市場の伸びは期待されている。

カンボジアの消費者も、優良な商品、そしてサービスを求める土台が少しずつできている。中間所得層の増加に伴い、新古車の販売は昨年比約10%増加している。カンボジアの自動車需要は徐々に新車需要へと変化していくだろう。

中古車の規制は、透明な市場に向けての第1歩だと思っている。中古車市場にとってのマイナスの面もあるかもしれない。一方で、古い中古車で埋め尽くされた自動車市場からの脱却によって、安全性の高い価値ある自動車が市場に流通することになる。

自動車流通市場が整備されることで、修理・メンテ、部品販売、オートローンなどの自動車附帯ビジネスの市場も更に拡大をしていくことになる。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

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