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(メディア掲載)【川崎大輔の流通大陸】タイ中古車流通がもつ3つの特徴

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タイ

2018年1月9日 08:07   14

【川崎大輔の流通大陸】にて、タイの中古車流通についての特徴について書かせて頂きました。将来、タイ中古車流通市場がアセアンの中古車を供給する中心国となることは間違いないでしょう。

<コラムURL>
https://response.jp/article/2017/11/27/302972.html

<コラム内容>

◆ アセアン中古車流通の中心、タイ

アセアントップレベルの自動車王国、タイの中古車市場を理解する意義は大きい。しかしながら、まだタイの中古車流通は、欧米と比較すると遅れてる。一般的にその国の中古車流通の発展度合いは新中比率で比較する。新中比率は新車販売台数に対する中古車台数の比率によってだ。その観点からいえば、ヨーロッパ(英国など)は3.0、アメリカでは2.0と中古車流通が新車流通の2倍、3倍ある。

確かにアセアンにおいては中古車流通における統計的データが正確ではないことを考慮する必要はあるが、アセアンの中で最も新中比率が高いと思われるタイでも1.0ほど、インドネシアなどでは1.0より低い。新車流通より中古車流通の方が少ない。

一方で長期的な視点で見ると、今後タイはアセアン周辺諸国における中古車供給国になる可能性は極めて高い。このようなタイの中古車流通を理解するためには3つの特徴を知る必要がある。

◆ 独自の流通プレーヤー、「テント」

特徴の1つ目は、「テント」と呼ばれる店舗で中古車が販売されている。テントとは、1区画あたり車15~20 台程度止められるスペースと箱のようなオフィスブースの電話1本で商売している、仲介屋の集積場所を指す。青空中古車市場に近いイメージだ。1つの集積場所に30ほどの店舗が集積しており、首都バンコクではラチャダーピセク通りや、シーナカリン通りにこのようなテントが多い。中古車流通プレーヤーの約60%がこのようなテントでの販売である。

タイにおける中古車流通プレーヤーは、日本と大きく異なり、新車ディーラーによる中古車販売事業による取引が圧倒的に少ない。新車ディーラーでの中古車販売が増やしづらい1つの要因としては、タイでは査定できることが(ブローカーなどに)横に流せるにつながる。査定の資格を取らせたいが、不正にもつながる、それがジレンマとなっている。買取専門店というのが存在せず、販売主体のテントがメインプレーヤーとなっていることも考慮すべき点だ。また個人間取引が5%以下と少ない日本とは異なり、個人間売買もそれなりに盛んで20%となっている。

◆走行距離が長く、高値安定市場

2つ目の特徴として、タイの中古車市場は、走行距離が長く高値で安定しやすい市場でだ。一般中古車ブローカーが取り扱っている車の走行距離メーターは信用度が低い。3年から4年落ちで走行距離が5万km以下という車はタイの一般的な走行距離から判断して疑った方が良い。メーターの巻き戻しは珍しいことではないためだ。

タイで販売されている中古車の走行距離は10万kmを超えている場合が多い。更にタイの中古車は中古車としての取引と部品取り用自動車としての取引に余り区別はない。修理が繰り返され長いものでは30年以上にも渡り利用されるので、かなりの年式を経た古いモデルやコンディションの中古車であっても有価で取引される。そのような事情から、日本以上の走行距離が行っている中古車が多い。テントに行くと展示されている中古車はピカピカに磨かれていて、日本の中古車店と同じように新しく見える。日本と大きく違うのは走行距離だ。

タイでの一般的な走行距離は年間3万km前後で、日本の2倍から3倍近く走行している。タイにある某日系リース会社では月間3000kmで試算をしていると聞いた。低年式(8年から10年以上)で条件の悪い車でも10万バーツ(30万円)以上の価格がつく。相場として年10%ずつ下落し20年ほどでゼロに近づくが、価値がゼロになることはない。部品取り車としてとことん利用。新車を5年から6年乗ってから転売というのが効率的である。

◆売り手優位のタイ中古車市場

3点目の特徴として、まだ売り手優位市場である。テントからの購入はタイ語による交渉能力と車を見極める目をもった人でないと少し危ない。販売価格は非表示のところもあり、中古車の売り手であるテントは客を見て販売価格を決める。

少し昔の日本も同じであったが、現在の日本では、自動車公正取引協議会がプライスボードの5大チェックポイント、(1)保証の有無、(2)定期点検整備実施状況の有無、(3)走行距離数、(4)前の使用者の点検整備記録簿の有無、(5)修復暦の有無、をルール化している。一方でタイのテントにこれらはない。販売価格表記されているだけでも良心的で、全くプライスボードがないところもある。

◆自らの価値を認識すべき日本のアフタービジネス企業

足元の販売動向にはバラつきが見られるものの、タイ中古車流通市場がアセアンの中古車を供給する市場となることは確実だ。しかし、中古車流通に関(かか)わる本当の難しさを経験したことがない。日本はアフターモータリゼーションの時期を通り、過去に同様の課題を解決してきた。

タイは今後、数年以内に日本を同じ課題を抱えることになる。そこに課題解決先進国としてアセアンのために自らがもつ課題に果敢にチャレンジしていく日本の大きな存在価値があることをもっと日本企業は認識すべきだ。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

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