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(メディア掲載)【川崎大輔の流通大陸】気になるモンゴルの自動車マーケット

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2018年1月10日 08:55   3

【川崎大輔の流通大陸】にて、今日は今回はあまり知られていない、気になるモンゴルの中古車市場について記事を書かせて頂きました。昨年末は日本の国技である相撲にて、モンゴル力士同士の暴力騒動をめぐる報道が過熱の一途を辿っていましたが、実際のモンゴルという国については日本ではあまりよく知られていません。

ただ個人的にはもっと日本はモンゴルについて積極的に関わる必要があると考えてます。特に自動車などでは日本が率先して行うべきHVへのアフターサービスなど、日本企業の技術、サービス、知識が貢献できる余地があるのではないでしょうか。そんな投げかけをコラムを通じて行ってます。

<コラムURL>
https://s.response.jp/article/2018/01/09/304445.html

<コラム内容>

2016年に訪問したモンゴル。当時は、都市計画プロジェクトによる郊外オートモールの設置、また拡大するハイブリッド自動車(HV)の輸入、など自動車市場が大きく変化している時期であったがその後モンゴルの自動車市場にどんな変化が起こったのだろうか?

◆郊外オートモールの計画は白紙に

2016年、モンゴルの首都ウランバートル。市内を抜け一本道を車で突き進む。左右は見わたす限り草原だ。しばらく進むと広大な郊外オートモール予定場所に到着。モンゴルの中古車販売を1か所にまとめ、集中管理を行い、同時に市内の駐車問題の解決や街並みの見た目を改善することを目的に進められている都市計画プロジェクトである。

ショールームを設置して販売している業者以外は、ウランバートルにある中古車販売店は郊外オートモールに移動。路上や屋外ショールームでの販売は許可されなくなると聞いていた。全車両の60%強がウランバートル市内で登録されており、交通渋滞を改善するための方策としても有効であった。集中管理を行い、同時に市内の駐車問題の解決や街並みの見た目を改善することが目的。建設進捗と景気動向によってオープンが見送られていた。

しかしその後、中古車市場にとなる予定の郊外大型オートモールは完成したのだが、政府の担当者が新しいオートモールの建設予算を着服していることが発覚して逮捕。中古車市場の移動の話もうやむやのままになり全く移動されていない。

◆HV(ハイブリッド)から普通車へシフトする兆候

モンゴルではHV(ハイブリッド)とSUVの人気が高い。中古車市場であればHVで『プリウス』(日本で売れない30前期型など人気)の台数が非常に多い。2014年のデータとなるが、モンゴルに輸入された自動車の36%がHVとなっている。HVの中のプリウスの割合は80%と圧倒的だ。当初はHVで輸入されているのはプリウスのみであったが、他(ほか)のHVも2008年以降は発生してきた。トヨタ車の車種別登録台数を見ると、プリウスだけで全車種の20%以上のシェアを占めており、その他、『ハイランダー』、『エスティマ』、『ハリアー』などのHVも含めれば25%がHVという状況となっている。

一方で最近は、HVから普通車へシフトする兆候が見られる。理由は自動車特別税などの引き上げが実施され、これまで自動車特別税が免税となっていたHVなども課税対象となったためだ。ウランバートルのほとんどの中古車販売業者はHVを販売していたが、現在は普通車もよく販売されている。

◆なぜ日本車がモンゴルに多く輸出されるのか? 

モンゴルでは自動車をつくっていないため、モンゴルを走るすべての乗用車が輸入されたものである。近年の鉱山業等の発展による経済成長によって、朝夕のラッシュ時には市内の道は車で埋め尽くされるほど自動車市場は急激に拡大した。韓国車、ドイツ製の超高級車も見かけるが、増えている自動車の多くは日本からの輸入である。理由の1つとしてモンゴルが非常に親日的であるという点があげられる。ただし、話を聞くとそれだけでもなさそうだ。モンゴルのような冬になると氷点下30度以下になる地域では、極寒の中でエンジンがかからないというトラブルなどが頻繁して起こる。まさに生死に関(かか)わる状況に遭遇するのだ。そのため品質の高い日本車しか安心して使えないという。

モンゴルでは、1990年代以前はロシア製の自動車が普及していた。しかし経済自由化の後、『ランドクルーザー』の人気が高まった。そしてモンゴルにおけるトヨタの 知名度が高まった。HVが広まったきっかけは、モンゴルの都市部で深刻な大気汚染の問題が顕在化したことが理由だ。そこで政府は排気ガスの排出が少なく環境への不可が少ないHVに優遇政策を設けた。そのため日本からの中古のHV(ハイブリッド)がモンゴルに入ることになった。中でもプリウスは、トヨタブランドであることに加え、燃費がよく寒い冬でもエンジンがかかりやすいとの評判が広まり、モンゴルの中古車市場でのトレンドになっていった。

現在、4万台ほどの中古車が1年間にモンゴルに入ってくる。日本からは2013年には約3万5000台の中古車が輸入されている。2003年には約3500台であったことを考えれば、10年間近くで10倍規模と急激に自動車需要が急速に伸びている。直近の2016年も3万2000台で安定的に日本からの中古車が輸入されている。遊牧民時代の馬と同じで、移動のためには欠かせないものとなり、修理を続けて乗り続ける。

◆日本が率先して行うべきHVへのアフターサービス

現在、ウランバートルに日系の中古部品販売店やHVを専門に直すサービス工場も出てきている。自動車の普及台数が増加するにつれて一般的にメンテナンスを含むアフターサービスが必要不可欠となる。特にモンゴルに多く輸出されたHVに対するアフターサービス需要は急速に増えていくことが予想される。また、環境の点からのリサイクルという課題もある。日本からモンゴルに輸出された使用済み自動車の解体・リサイクルのプロセスはもちろん、HVのリサイクルスキームを確立することが必要だ。モンゴルでバッテリーやモーターなどの回収及びリサイクルがなされているかは疑問である。特にバッテリーは危険が伴うため廃車として処理するだけでなく、安全に配慮した整備作業が求められる。

モンゴルといえば草原や遊牧民などのように牧歌的な風景をイメージするだろう。しかしそのような思いとは裏腹に、ウランバートルに馬は走っていない。モンゴルを走るのは自動車でその多くは日本の車である。

モンゴルには現在のところ日本のような専門性を持ったHVの整備工場やリサイクル事業者は存在しない。安全性が確保できないHVの取り扱いや廃棄は将来的な問題を引き起こす。確かに整備インフラが整っていないという課題はある。しかし日本の中古車が多く走っている以上、車検制度を的確に実施できる態勢づくりを支援するなどの必要だ。そこには日本企業の技術、サービス、知識が貢献できる余地があるだろう。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

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