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(メディア掲載)【川崎大輔の流通大陸】ミャンマーの自動車整備人材が必要な理由

海外現地事情
コンサルティング
人材
ミャンマー

2018年2月1日 07:59   7

【川崎大輔の流通大陸】にて、外国人材の活用方法について書かせて頂きました。今回はミャンマーからの技能実習生に関して。日本のクルマ屋は、アセアン人材の活用について本気で目を向ける時ではないか?と自分は思っています。

<コラムURL>
https://response.jp/article/2016/12/28/287704.html

<コラム内容>

ヤンゴン市内中心から少し北に位置するインヤレイクほとりのIBC(International Business Center)で、自動車整備技術学校の卒業式と入学式が開かれた。今回の卒業生は49名、入学生が104名。希望に溢れるミャンマーの若者たちの笑顔をみる機会を得た。

◆ミャンマーの自動車市場とそれを取り巻く整備環境

ミャンマーは日本が約半世紀前に経験したモータリゼーションの波を今、迎えようとしている。ミャンマーでは2011年の民政移管の際に、政府はスクラップポリシーを発表し完成中古車輸入を解禁した。更に2012年に個人に対する中古車輸入の大幅緩和が行われ、これが日本からミャンマーへの中古車輸入が急増する結果となった。

貿易統計データによれば、2011年の日本からミャンマーへの中古車通関台数は1万9621台であったが2012年には12万0805台となった。2015年データでは商用車を含めた日本からの中古車輸入台数は14万1066台である。

ミャンマーでは公的な自動車流通の統計データはないが、自動車保有台数は60万台以上といわれている。自動車市場の拡大に比例して整備ビジネスの市場も広がると考えられる。更に整備工場のスタッフを通じて多くの顧客との信頼関係を構築していくことで、新たな自動車アフタービジネスのチャンスを探っていける。

ミャンマーの最大都市ヤンゴンを訪問した人はわかると思うが、道路は朝夕のラッシュ時には車で埋め尽くされる。急激なモータリゼーションが進行しているにもかかわらず、道路インフラが追いついていない。また、安全基準や運転モラルの不足で交通ルールが守られているとはいい難い。また排気ガスによる大気汚染などの問題も出てきている。中でも喫緊の課題は整備人材と整備環境の不足といえる。

◆ミャンマーで自動車整備人材が必要な理由とは?

ミャンマーでは車齢の高い日本からの中古車が主流であり、故障比率が高い。定期的な整備が必要にもかかわらず、整備工場が圧倒的に不足している。ミャンマー政府に認められている整備工場は129店舗(2013年)のみであった。熟練エンジニアも当然不足しており、ほとんどが整備・修理の教育を受けたことがない状態である。

更に、自動車整備分野の技術者訓練体制がミャンマーには整っていない。ミャンマーでは、中古車が増加しているにも関わらず、自動車整備技術者の職業訓練機関が未整備の状況である。新車販売が少なく、ほとんどが中古車の市場であるにもかかわらず、中古車が販売された後のサービスは提供されていない。外部による、整備サービスがなければ今後の自動車市場の拡大はないだろう。

◆日本の専門学校として初めてミャンマーに自動車整備コースを開設

そんな状況の中で、日本の学校法人岡山科学技術学園は、ミャンマーでの自動車整備技術者育成に着手した。2013年に現地の職業専門学校である「Glory Career Training Center」と自動車整備技術者育成に関する基本契約を提携し、翌年の2014年には自動車整備技術者育成コースを開設。ジェトロの支援を受けて日本の専門学校として初めてミャンマーに独自のコースを開設し、自動車整備のカリキュラムや機材の供与、日本人教師の常駐を始めた。

ミャンマーを選んだ理由として、学園理事の井上氏は「2012年に元ジェトロ初代ヤンゴン事務所長の荒木氏よりミャンマーに職業校の必要性があることを力説された。更に同じ年にミャンマーを訪問し現在のパートナーであるGloryを訪問して将来性を自らの目でみて判断した」という。

◆日本の特徴ある授業

ミャンマーでの整備技術者育成コースの教育期間は1年間。入学時期を4月と10月の2回に分けている。1期ごとの定員は75名のため年間の総定員は150名。学ぶ内容は日本の自動車整備士と同様の授業を基本カリキュラムとしている。また、4S、QC、あいさつなど日本のマナーなども指導するようにしている。ミャンマーに進出している日系ディーラー、地元の主要ディーラー、更に整備工場へカリキュラムが終了した整備人材を提供することでミャンマーの未整備車両を減らすことができる。事故の増加や交通渋滞の進行、大気汚染の更なる悪化といった悪循環も事前に防げるだろう。

今後は、日本への留学を推進して日本の整備士不足にも応えられる対応を行っていくという。学園側でミャンマー人の留学生を受け入れ、教師としての指導も行う予定だ。

◆自動車整備技術者育成コースの課題と魅力

とはいえ、ミャンマーで満足のいく整備技術者を育てるには課題が残る。実務経験は一朝一夕では身につかない。増加する学生を受け入れるための校地校舎、設備、人材が常に不足しているのだ。

整備技術者の需要は日に日に高まっている。自動車の性能はどんどん向上し、見よう見まねの知識や経験では対応できなくなっている。しかし、指導する教員の育成が間に合わない。

更に、整備技術者育成コースの生徒数は順調に推移している。彼らはミャンマーで開始される整備技術者試験を受験するようになる。この試験に対応するために自動車整備技術者育成コースの授業カリキュラムを再編成した。すべて日本式で授業を行うのではなく、現地の需要に柔軟に迅速に対応していくことが大切だという思いが学校側にある。

課題は残るが、岡山科学技術学園はミャンマーでの整備技術者育成を民間ベースで推進してきた。学園理事の井上氏は、「今後の展望として、ミャンマーを拠点とし自動車整備技術者育成をアセアンに展開していきたい」と考えている。

ミャンマーでは、日本車の修理ができる体制と人材がこれからますます重要になる。日本の自動車関連企業にとっては、将来の自動車市場として極めて魅力的な国だ。ミャンマーの若者にとって自動車整備士があこがれの職業になるのはそう遠くないかもしれない。

<川崎大輔 プロフィール>
大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。2015年半ばより「日本とアジアの架け橋代行人」として、Asean Plus Consulting LLCにてアセアン諸国に進出をしたい日系自動車企業様の海外進出サポートを行う。アジア各国の市場に精通している。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科東アジア経済研究センター外部研究員。

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