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アリババ株式会社の海外展開ブログ


中華鍋がアメリカに売れた!老舗金属加工メーカー3代目社長の決断力

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2018年4月16日 08:39   4

言わずと知れた金属加工の街、新潟県燕三条。アリババワールドパスポートのお客様も多くいるエリアだ。その歴史は江戸時代初期、信濃川の氾濫により稲作に適さない土地だった燕三条の農民が、副業として行った釘づくりが始まりだそう。その後銅器やキセルにも製造品目を広げ、明治の終わりに金属製洋食器を作り始めたことが契機となり、金属加工産業が発展を遂げていった。
世界からの注目度も高く、外務省による日本の魅力を海外へ発信するプロジェクト「ジャパン・ハウス」では、燕三条と連携した企画が2018年秋に行われることが決定している。

今回取材させていただいたサミット工業株式会社は、燕市で60年以上金属加工を行っている会社。現社長の峯島健一氏は2008年7月に事業を継承した3代目経営者である。事業継承してすぐにリーマンショックという危機を経験した峯島氏が、経営者としてどのように歩んできたかとこれからの後継者に求められる姿勢について伺った。

事業継承した2ヶ月後に襲ったリーマンショック

サミット工業株式会社は昭和22年、峯島洋食器株式会社という社名で開業、社名どおり洋食器の製造を行っていたが、昭和48年ごろに鉄鍋の製造を始め、本格的に鉄鍋の生産に事業をシフトしたことからサミット工業株式会社に社名を変更。現在は中華鍋を中心に天ぷら鍋やダッチオーブン、卵焼き器など、100~200アイテムほどの鉄鍋製品を製造している。

峯島健一氏が代替わりで社長に就任したのは2008年7月のこと。その直後の9月にリーマンショックが襲い、注文が入らない時期が続くという苦境にいきなり立たされた。2009年、2010年と売上は下がり続け、何か手を打たないとこのままではまずいという危機感が日増しに膨らんでいった。もともと付き合いのある取引先との商いがほとんどで、消費者への直販は行っていなかった同社。メーカーが直接消費者に販売すれば安い価格で売れるが、取引先との関係が悪化するのは明らかである。なかなか積極的に直販に踏み込めない中、海外であれば取引先との関係も壊さず、販路を広げることができるのではないかと考えた。

躊躇したらきっと海外への第一歩が消えると思った

ある日会社にかかってきた電話をきっかけにアリババを知ったそうだが、当時はアリババという名前を知らず、怪しく感じたという。

「アリババって名前も怪しいなと思って(笑)ほんとうに大丈夫なのかなとも思ったんですが、藁にもすがる一歩手前くらいの気持ちでセミナーに参加しました。」

セミナーでサービスの内容を聞き、参画を決めたそうだが、貿易経験もなく英語ができる人材もいない中、海外展開への不安や恐れはなかったのだろうか。

「もしあそこで躊躇して少し考える時間を取ってたら、たぶん止めてしまうだろうという思いがあったんですよね。海外への第一歩のチャンスが消えてしまうんじゃないかと。あれは自分なりの判断、覚悟だったのかもしれないです」

だいたい35歳くらいから40歳くらいで代替わりする会社が多く、事業継承して頑張っている同世代の経営者が多くいたのだそうだ。自分も何か新しいことを始めなくてはと、駆り立てられるような気持ちもあったのだという。

2年間放置した後、人を採用してやっと動き始めたAlibaba.com

Alibaba.comを使っての海外展開をスタートしてみたものの、最初はそううまくは進まなかった。まず取り掛かったのは掲載作業。社長自身が一人でやろうとしたが、通常の業務に時間を取られ、なかなか作業が進まない。2年間もほったらかしにしちゃってたんですよと笑う。もうやめようかと思ったとき、アリババの担当者にこう言われる。「社長は2年間のお金をドブに捨てたんですよ。そのお金を取り返すまではやりましょうよ。社長の時間がないなら人を雇いましょう。」、ここまで言われてやめるのも悔しいと一念発起し、海外担当の業務を任せる人材の採用活動を始めたのだそうだ。

担当者として採用した女性は英語ができるというわけではなかったと言う。英語は話せないけど辞書見ながら書くことはできるという程度。ただ海外との接点を持つ仕事がしたいとやる気はあったため、掲載作業と問い合わせ窓口を担当してもらうことにした。
ページ掲載と迅速な問い合わせへの返信ができるようになり、見積依頼やサンプルの送付依頼が少しずつ増えていったのだそうだ。サンプルを送るときも1個くらいなら無料で送っていたという。実際の商品を見てもらうことで、物を気に入ってくれたバイヤーが注文してくれるだろうという社長のねらいが功を奏じ、注文が入るようになる。

メインの取引先はアメリカと中国。中国に中華鍋が売れるとは驚きだが、アメリカからの注文も中華料理チェーン店からの注文だという。
「正直日本製は高いと思いますよ。でも熱伝導がいいとか、使いやすいとか、形状がいいとかで買ってくれていますね。サンプルを送っているので、実際に使ったうえで『これにしよう』って思ってくれているようです。」

現在売れているのは北京鍋という種類の中華鍋だが、昨今の和食ブームもあり、天ぷら鍋についても海外に広めていきたいという思いを持っている。観光で来日した外国人が天ぷらを食べて、家でも作ってみたいというニーズが生まれるかもしれない。天ぷらは気をつけないと事故にもなりうる調理法なので、丁寧なレクチャーを含めて売れれば、今後伸ばすことができると考えている。使い方やノウハウも含めた海外展開が今後の課題だ。

経営者は踏み出す勇気と未来への希望を持つべき

最近では先輩の子供世代、20~ 30歳くらいの若者が事業に入り始めていて、デザイナーとのコラボや積極的なSNS活用など、考え方の違いや発想力に驚くという。今年で6回目となる「燕三条 工場(こうば)の祭典」も、最初はその効果に懐疑的だったが、年々増える参加者とその感動ぶりを目の当たりにし、自分たちが当たり前だと思っていることでも、違う環境にいる人にとっては新鮮で感動するものなのだと感じたそうだ。

海外の人々にとっての日本製品もそうなのかもしれない。自分たちの製品が海外でどのように受け入れられるか、どう評価されるか。そういったワクワクした気持ちも海外進出には大事だと言う。
「私の場合は社長になってすぐ不景気になって、国内で直接販売する算段もなかったので、打破するために海外という決断をしたんですが、今はそこまで不景気ではなくて、危機感は薄いかもしれない。でもだんだん縮小はしていくのは明らかです。もっと自分たちの商品を広くPRしたいという気が少しでもあるなら、海外にも視野を向けたほうがいいと思います。やらないで後悔するよりやってダメであれば自分でも納得がいく。そんな一歩踏み出す勇気をこれからの経営者は持つべきだと思います。」

「僕は一番この北京鍋が好きなんですよ。」と北京鍋の魅力を熱く語る峯島社長。自社製品を本当に愛していることが伝わってくる笑顔だ。うちの製品の良さをもっともっと世界中の人に知ってもらいたい。その気持ちが海外への原動力になっているのだろう。

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