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中小企業でもロボットを導入できる時代。話題の協働ロボットとは

ノウハウ

2018年11月15日 08:18   2

日本では高齢化や人口減少が深刻な社会問題となっており、労働者不足に悩まされる中小企業も多いのではないでしょうか。特に、多様な製造工程のある製造業ではそのぶん多くの作業者が必要になるため人手不足が問題視されています。

労働者不足に陥ると一人が行う作業量が増え作業者は過酷な労働を強いられます。その結果、少ない人数での労働は生産量や品質の低下を引き起こします。

このような、製造業の労働者不足によって起こる問題の解決方法として注目されているのが産業用ロボットです。今回の記事では、産業用ロボット導入の壁とその解決策について説明します。

ロボットを導入するメリットは作業者の省人化、人材コストの削減、生産性の向上と安定、品質の向上と安定、人が行う過酷な労働の削減です。
また、ロボット導入前に予想できなかった思わぬ効果もあるようです。

例えば、ロボットを導入する上で、作業工程や人間の動きが見直され、洗練した業務環境に整えられた工場がありました。ロボットを導入することで不安定だった品質や生産性が改善され、外部の信頼を得られた例もあります。

工程を自動化し作業者がフリーになったぶん、新たなことに挑戦する意識が芽生えたり、より丁寧な仕事をすることにつながった例もありました。

しかしその一方で、ロボットの導入にはデメリットもあります。
ロボット自体の価格が高いこと、大きなスペースが必要になること、安全のため人間と分離した場所でしか使えないことなどです。また、ロボットへの業務ティーチングや故障した際の対応などは専門の技術者でないとできないため、技術者を自社で育成するか、もしくは外部に委託する必要があります。

産業用ロボットをティーチペンダントと呼ばれるリモコンのようなもので操作しながら、その位置を記憶させる作業者のことをティーチングマンと言います。
ティーチング作業を行うことでロボットにプログラムが作成され、プログラムを再生することでロボットを動かせるようになります。ティーチングマンには熟練した技術が必要になるため、訓練するには数年の訓練期間と人件費がかかります。

外部の専門会社に依頼すると、高額なコストがかかる場合もあり、中小企業がロボットを導入するにはまだまだ大きな壁があると言えます。
では、中小企業がロボットを導入するにはどうすれば良いのでしょうか。

導入のハードルが低い協働ロボット

近年、導入のハードルが低いロボットとして、業界から大注目を集めているのが協働ロボットです。

協働ロボットとは、従来のロボットと違い安全柵なしで人間と協働することができる小型化、軽量化されたロボットのことを言います。2年に1度開催される世界最大級のロボットビジネスショーである「国際ロボット展」で2017年に多くの企業からの出店が見られ注目されました。

今までの産業ロボットと異なり、協働ロボットは価格がお手頃なこと、固定設置の必要がなく、移動可能であること、柔軟に運用可能で汎用性が高いという特徴があります。
産業ロボットで大きな問題であったティーチング作業は、協働ロボットだと容易です。産業ロボットは、各製造ラインに合わせてハードウェアの開発とプログラミングを行う必要がありましたが、協働ロボットは、そのような製造ラインへのインテグレーションの手間が軽減され実装が容易になったのです。
プログラミングが容易になったことや立ち上げまでの時間が短縮されたことで導入のコストが下がりました。

この協働ロボットはレンタルできるものもあります。
例えば、川崎重工業は東京センチュリーと連携してロボットレンタルサービスをしています。
また、協働ロボットには経済産業省で導入を支援する制度も用意されています。中小企業は大手よりも補助率が高いので制度利用を検討すべきでしょう。

このように、従来の産業ロボットの問題点をカバーしている協働ロボットは、ロボット導入を中小企業でも検討できるものに変えつつあります。

ロボット導入のイロハ

ロボットの導入を視野に入れている方に導入する前に準備すべきことを紹介します。

①多様な部門のメンバーで導入検討チームを作る
ロボット導入に向けて多角的な意見で議論するために広い分野のメンバーでチームを作ります。

②作業工程全体の見直し、問題を明確化
作業員の意見を聞きながら、チームで作業工程上の問題を明確化します。どこの工程を自動化すれば効果的か、問題が解決されるかを検討します。

③工場全体のレイアウトの見直し
ロボットを導入するにはスペースが必要です。他の工程に影響を出さないか等、作業場の設置条件と機械が正常に動作するために問題はないか、湿度や振動、電源などの設置環境も確認しましょう。

④ロボットの選定と導入のコスト
ロボットの具体的な作業内容や設置場所が決まったら、ロボットを選定し費用を見積もります。ロボット導入にかかる費用の他にも、長期的な費用対効果の検証をします。また、万が一のトラブルのためにリカバリー方法を検討しておくことで想定外のコストを抑えられるでしょう。

⑤社内検討を終えたらSIerに相談
導入の具体的な流れや計画を専門業者に相談しましょう。SIerはロボットの導入前から後までサポートしてくれるため、導入が初めてでも安心です。

⑥ロボット設計
一連の計画が決まったら、ロボットのアームの動かし方や生産ラインの構築などロボットに関わる全ての設計を行います。

⑦安全設計
ロボットの導入よるリスクを分析し、安全柵の設置などを検討します。

⑧人材育成
ロボット導入に向けて、ロボットを適切に操作できる人材が必要です。事業者には、ロボットを扱う労働者に対し労働安全衛生法に基づく安全教育や特別教育を受けさせることが義務付けられています。メーカーやSIerから協力を得ながら操作を学びます。

導入までの道のりは長いように思えますが、導入後のメリットは大いに期待できるでしょう。

ロボットを導入した中小製造企業の紹介

・株式会社山神(食品)
同社は社員数48人の青森県にある水産業の会社で、
ホタテの養殖と加工から商品の製造販売まで自社で行っています。
手作業で行っていた、ウロと呼ばれるホタテの黒い部分を取る作業をロボットで自動化しました。導入に至った経緯は、作業者の高齢化で作業員確保が難しくなったこと、またそのことによる品質や生産の維持が課題だったためです。

同社のロボットは画像処理技術を組み込み、ホタテの向きを調整することで丁寧にウロを取れるようにしました。ロボット導入後は、高い品質を保ち変動のある水揚げ量にも柔軟に対応できるようになりました。
何より、過酷な労働を省きながら生産量を5倍に増やすことができ、ロボット導入により高い効果を得た例です。

・株式会社コスメナチュラルズ(化粧品)(協働ロボット)
同社は化粧品や医薬部外品の研究開発、製造、販売をしている会社です。化粧品産業では、全般的に人手による作業が多く深刻な人手不足に陥っていますが、同社も同じ問題を抱えており、品質不良が発生していました。

この問題を解決するために人手から自動化を検討しましたが、産業用ロボットは大きなスペースが必要になること、安全柵が必要になるため人と協働できないこと、価格が高額であることが原因で導入が困難でした。

そこで、同社は小型で価格も低額の協働ロボットを導入することにし、多品種対応が難しいチューブ製品の面取り工程を自動化しました。ロボット導入により、品質の維持、作業員を半数に省人化、労働生産性を約2倍にすることに成功しました。

・カナエ工業株式会社(輸送用機械器具)
同社は自動車部品の製造、金型・治工具・省力化機械と各種医療装置の機構部品の開発・設計・製造をしている会社です。

今まで自動車のボディに使われるシェルという部品をブレードという部品にハンマーで打ち込む作業を人が行っていました。しかし、その作業は労働が過酷であること、作業者ごとに打ち込み方が異なり品質が安定しないという問題があり、工程の自動化を決めました。

ただ自動化したのではなく、作業員の経験知やコツを組み込むことで作業人数を12人から1人に省人化し労働時間を減らした上、労働生産性を13、5倍に向上させることができたといいます。

最後に

ロボット導入には大きな壁があるものの、導入することで高い効果を得られます。

導入するかどうかの検討の前に、まずは作業工程を一度整理し、現在の作業の問題点を探ることから始めてみてはいかがでしょうか。
自動化できる、もしくは自動化すべき工程が見つかったり、ロボットを導入せずとも、意外とすぐに解決できるような課題が発見できるかもしれません。

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